- 2025年2月4日
- 2025年2月5日
骨粗しょう症の検査方法とは?
骨粗しょう症(骨粗鬆症)は「沈黙の病気」と呼ばれ、症状が進行するまで気づきにくい疾患です。適切な検査を選ぶことが、早期発見と治療の成功につながります。ここでは、主要な骨粗しょう症の検査方法について、それぞれの仕組みやメリット・デメリットをご説明します

1.デュアルエネルギーX線吸収法(DEXA法)
DEXA法は骨密度を測定するためのゴールドスタンダードとされる方法です。当院においてもこのDEXA法で検査を行っています。この検査では、異なるエネルギーを持つ2種類のX線を骨に照射し、骨密度を正確に測定します。主に腰椎や大腿骨を対象とし、骨折リスクの予測や治療効果の経過観察に適しています。日本骨粗鬆症学会で推奨される測定部位はこの腰椎と大腿骨です。これらの部位での骨折が非常に多く、日常生活を大きく障害するためです。「いつのまにか骨折」と呼ばれる転倒などの外傷がないのに骨折が見つかる場合はたいてい腰椎です。同じDEXA法でも手関節で計測する機種もありますが、測定部位によって数値が大きく異なる方もいらっしゃいますので、腰椎と大腿骨で計測することが信頼性が高いと言えます。
メリット
精度が非常に高く、特に骨粗鬆症の診断において最も信頼性があります。
デメリット
専用の装置が必要であり、設備の整った医療機関でしか受けられない点がデメリットです。また、放射線を使用するため、妊婦には適さないことにも注意が必要です。
2.エムディー法(MD法)
MD法は簡易的に骨密度を測定できる方法で、DEXA法ほどの高精度はないものの、スクリーニング検査として広く用いられています。この検査では、骨密度を測定する際にエネルギーの吸収や散乱の違いを解析し、主に腕の骨や指を対象に行います。
メリット
検査時間が短く、比較的低コストで実施できるため、多くのクリニックで利用されています。
デメリット
デメリットとして、腰椎や大腿骨の測定はできないため、骨折リスクの評価には向かないという課題があります。測定部位によっては測定値が大きく異なることもあります。
3.キューユーエス法(QUS法)
QUS法は超音波を使用して骨密度を測定する方法で、主にかかと(踵骨)を対象とします。この検査では、超音波が骨を通過する際の速度や減衰特性を計測して骨密度を推定(推測)します。簡易に計測できるため、健康診断や街中のスーパーなどでも健康飲料の販促の際にもよく用いられています。あくまでも「推測値」ですので気になる場合にはDEXA法で確認することをおすすめします。
メリット
放射線を使用しないため、妊婦や放射線被ばくを避けたい方でも安全に受けられる点が大きなメリットです。また、簡単に測定できることから健康診断で利用されることが多いです。
デメリット
全身の骨密度の評価には適しておらず、結果が曖昧になる場合があるため、必要に応じて他の検査方法と組み合わせることが推奨されます。
どの検査を選ぶべき?
正確な診断が必要な場合は、DEXA法が最適です。特に腰椎や大腿骨を詳しく調べることで、骨粗鬆症の診断や治療効果の観察に役立ちます。健康診断や簡易的なチェックを目的とする場合は、QUS法やMD法となります。
骨粗しょう症の検査を受けるべきタイミング
骨粗しょう症の検査は、以下のタイミングで受けることが推奨されます。
50歳以上の方
閉経後の女性や高齢男性は骨粗しょう症検査の対象となります。特に女性は50歳を過ぎたら一度検査を受けることをおすすめします。検査をしてみると、思いのほか骨密度が低下していることに気づかれる方も多くいらっしゃいます。しかし、骨粗鬆症の治療は「将来的な骨折を防ぐ予防治療」ですので早い段階で気付くことは骨粗鬆症の内服薬を始める良い機会と言えます。早い段階での治療薬は女性ホルモンに似た作用の生理的な内服薬から始めることができます。
骨折した経験がある方
骨折の経験がある場合、骨粗鬆症が原因の可能性があります。特に軽微な外傷で骨折した場合、検査が必要です。
家族に骨粗鬆症の方がいる場合
家族歴がある場合、遺伝的要因で骨粗鬆症のリスクが高まることがあります。
身長が縮んだと感じる場合
骨密度が低下すると、椎体の圧迫骨折が原因で身長が縮むことがあります。早期の検査が重要です。
特定の病気や薬の影響がある場合
糖尿病、関節リウマチ、ステロイド薬の長期使用などは骨密度を低下させるリスクがあります。
生活習慣が気になる場合
カルシウム不足、運動不足、過度な飲酒や喫煙は骨粗鬆症のリスクを高めます。心当たりがある場合、検査を検討しましょう。
神戸市灘区で骨粗しょう症が気になる方へ
神戸市灘区で骨粗しょう症が気になる方はぜひ当クリニックへご相談ください。
骨密度を測定するにはX線による骨密度測定装置(DEXA)を使用します。測定する部位によっても数値が異なってしまうことが多いため、最も骨折しやすい腰椎や大腿骨頸部を測定できる全身型DEXAが推奨されています。当クリニックでも全身型DEXAで測定しています。

骨密度は原則として、腰椎または大腿骨近位部(頚部)で測定し、低い方の値を採用します(骨粗鬆症ガイドライン)。
健康診断などで踵(かかと)で測定する骨密度は、超音波による計測があくまでも参考値ですので精査が必要とされた方はご相談ください。
検査時間は5分程度です。検査結果についてもわかりやすく説明することを心がけていますのでお気軽にご相談ください。