• 2025年2月4日
  • 2025年2月5日

【骨粗しょう症】骨折を防ぐために今日からできること

1.骨粗しょう症とは

骨粗しょう症(骨粗鬆症)は、骨がもろくなり、軽い衝撃や転倒でも骨折しやすくなる病気です。特に腰椎や大腿骨、手首の骨が骨折しやすい部位として知られています。初期段階では目立った症状がないため、気づかないうちに進行している場合が多いです。病気の進行によっては身長が低くなる、背中が曲がる、慢性的な腰痛が生じることがあります。これは骨の密度が減少することで、骨の強度が低下するためです。

2.女性と閉経後のリスク

女性は閉経後にエストロゲンというホルモンが急激に減少することで、骨密度の低下が加速します。これにより、50歳以降の女性は骨粗しょう症のリスクが大幅に上昇します。エストロゲンの減少により、骨の吸収を抑える働きが失われるため、早期の予防や治療が不可欠です。

また、閉経後の女性にとっては、定期的な骨密度測定が骨折リスクを軽減するうえで重要な指標となります。さらに、適切なホルモン補充療法や食事改善によって骨の健康を守る方法があるため、医師と相談しながら予防策を講じることが大切です。

3.男性の骨粗しょう症リスク

骨粗しょう症は女性に多い病気というイメージがありますが、男性も加齢や生活習慣の影響で発症するリスクがあります。特に喫煙や過度な飲酒、慢性疾患がある男性は注意が必要です。また、低テストステロン値も骨密度の低下に影響を与えるため、健康診断などで骨粗しょう症のリスクを指摘された場合は整形外科での診断を検討することが重要です。

4.骨粗しょう症の診断と検査

骨粗しょう症の診断には、骨密度測定が重要な役割を果たします。特に腰椎や大腿骨の骨密度を測定するDEXA(デキサ)検査は、精度が高く信頼性のある検査法です。当院では最新のDEXA装置を導入しており、検査はわずか5分程度で完了します。検査結果はその場で確認できるため、早期の治療計画を立てることが可能です。

受診のタイミングとしては、閉経後の女性や50歳以上の方、家族に骨粗しょう症の既往歴がある方に特におすすめしています。さらに、軽い転倒で骨折を経験した方や慢性的な腰痛を抱える方も早期診断を受けることで将来のリスクを軽減できます。

5.骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療は、骨の破壊(骨吸収)と形成(骨形成)を調節する薬剤によって進行を抑えることが主な目的です。骨吸収を抑制する薬剤としてはビスホスホネート製剤が広く使用されており、月に一度の服用で効果が期待できます。また、骨形成を促進する薬剤としては、副甲状腺ホルモン製剤や抗スクレロスチン製剤が挙げられます。これらは新しく骨を作り骨密度を増加させる効果があり、特に進行が著しい患者様に適しています。

薬剤選択においては、骨密度の数値だけでなく、患者様の生活習慣や既往歴、治療への希望などを総合的に考慮します。当院では医師が患者様一人ひとりに最適な治療プランを提案し、無理なく続けられる治療をサポートしています。

6.骨粗しょう症予防のために今日からできること

① 栄養バランスの見直し

骨粗しょう症を予防するためには、栄養バランスを整えることが重要です。特に以下の栄養素を意識しましょう。

カルシウム

骨の主要な成分であり、牛乳、ヨーグルト、小魚、大豆製品(豆腐や納豆)などに豊富に含まれています。乳製品が苦手な方は、カルシウム強化食品や小魚を摂取することをおすすめします。

ビタミンD

カルシウムの吸収を助ける重要な栄養素です。魚介類(鮭やサンマ)やキノコ類(干しシイタケ)に多く含まれており、太陽光を15分程度浴びることで体内生成を促進できます。日焼けが気になる場合でも、朝夕の短時間の日光浴を心がけましょう。

タンパク質

骨の成分として重要な役割を果たします。鶏肉、卵、大豆製品などの摂取を増やし、筋力低下を予防しましょう。

マグネシウムやビタミンK

骨形成をサポートする栄養素です。緑黄色野菜やナッツ類、海藻を積極的に取り入れると効果的です。

適切な運動を取り入れる

骨粗しょう症予防には、骨に適度な負荷をかける運動が有効です。以下のような運動を生活に取り入れましょう。

有酸素運動

ウォーキングやジョギングは骨密度の維持に最適です。特に1日30分程度のウォーキングを習慣化すると、全身の健康にも役立ちます。

筋力トレーニング

スクワットや軽いダンベルを使った運動で骨に負荷を与え、筋力を高めます。筋力アップは転倒防止にもつながります。

バランストレーニング

ヨガや片足立ちなどのトレーニングでバランス感覚を鍛え、転倒のリスクを減らします。

日常生活の環境整備

自宅内外の環境を整えることで、転倒や骨折のリスクを軽減できます。

自宅の工夫

滑りやすい床をカーペットで覆う、段差をなくす、手すりを設置するなど、安全な環境を整備しましょう。

外出時の注意

滑りにくい靴を選び、雨の日は傘に加えて滑り止め付きの靴カバーを利用するなど、注意を払いましょう。

④ 女性特有の骨粗しょう症対策

女性は閉経後にエストロゲンの減少により骨密度が低下しやすい傾向があります。

大豆イソフラボンの摂取

エストロゲンと似た働きがあるといわれる大豆イソフラボンを摂取することで、骨の健康をサポートします。納豆や豆乳、豆腐を積極的に取り入れましょう。

ホルモン補充療法の検討

閉経後の女性で骨粗しょう症が心配な場合、医師に相談しホルモン補充療法を検討することも有効です。

男性特有の骨粗しょう症対策

男性も加齢に伴い骨密度が低下しますが、女性と比べて骨粗しょう症への意識が低い場合があります。

飲酒と喫煙の見直し

アルコールや喫煙は骨密度の低下を引き起こす要因となります。特に過度な飲酒や長期喫煙をしている場合は、減らす努力をしましょう。

筋力トレーニングの強化

男性は筋力を活用した運動を取り入れることで、骨の強化に役立ちます。自重トレーニングやウエイトリフティングを定期的に行いましょう。

⑥ 定期的な検診を受ける

骨粗しょう症は早期発見と治療が重要です。当院では骨密度測定を実施しています。特に50歳以上の方、または家族に骨粗しょう症の既往歴がある方は、早めの検診をお勧めします。

神戸市灘区で骨粗しょう症が気になる方へ

神戸市灘区で骨粗しょう症が気になる方はぜひ当クリニックへご相談ください。

骨密度の測定にはX線による骨密度測定装置(DEXA)を使用します。測定部位によって数値が異なることが多いため、最も骨折が生じやすい腰椎や大腿骨頸部を測定できる全身型DEXAが推奨されています。当クリニックでも全身型DEXAで測定しています。

骨密度は原則として、腰椎または大腿骨近位部(頚部)で測定し、低い方の値を採用します(骨粗鬆症ガイドライン)。健康診断などで踵(かかと)で測定する骨密度は、超音波による計測が参考値であるため、精査必要とされた方はご相談ください。

検査時間は5分程度です。検査結果についてもわかりやすく説明することを心がけていますのでお気軽にご相談ください。

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