関節リウマチ

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「関節リウマチ」という病気は、一般に、非常にこわい病気であり、難病であると恐れられています。しかし、全体の70%の患者様は進行が非常に緩やかであり、現在では早期発見にて上手につきあっていける病気であります。
初期には、手足の関節などが腫れたり痛む症状が、ほっておくと体のあちこちの関節に起こり、次第に関節が変形してくる病気です。関節リウマチの患者様は日本では約60~70万人おられると言われています。30~50歳代の女性に多くみられ、女性は男性の約3倍の頻度で発生します。

この病気の原因については、まだ不明な点が多いのですが、遺伝子の影響があることはわかっていますが、母親がリウマチだから、必ずお子様に遺伝するわけではありません。
関節リウマチの初期の症状として、「朝のこわばり(朝起きた時に指が曲がりにくいが、しばらくすると気にならなくなる)」は大切であります。

この時点で、リウマチの専門医に受診された時には、血液検査やレントゲン検査、そして関節の症状を総合的に判断し治療を開始いたします。血液検査の異常(リウマトイド因子陽性)が、患者様への誤解や医師の誤診に結びつくことがあります。現在、リウマチの早期診断の大切さがわかってきたために、より適切に診断し、早期に投薬することが大切ではありますが、リウマチでない患者様に血液検査だけで診断され、投薬が行われることがあることは非常に残念です。正常の方の3~6%に血液検査のリウマトイド因子が陽性にでますし、関節リウマチの患者様でも15~20%くらいの方は陰性なので血液検査だけでは判断できません。しかし、感度や特異度の高い検査(抗CCP抗体)が、保険で受けられることになったことは、より早期の段階でリウマチ患者様の発見につながると思われます。

治療に関してもここ数年で、多くの研究者のおかげで、痛みをやわらげる薬(痛み止め、ステロイド)だけでなく、リウマチ自体の進行を抑え、関節の破壊を予防できる薬(免疫抑制剤、生物学的製剤)がたくさん開発されておりリウマチの進行を抑え、症状の改善が得られやすくなっています。副作用を十分に医師も患者様も注意をすれば、世間で思われているほど怖い薬ではありません。免疫抑制剤の内服で効果が得られにくい場合の生物学的製剤の注射治療は多くの経験のある専門病院に紹介させていただいています。繰り返しになりますが、早期に診断し、早期に適切な薬を投与することが、治療の第一歩とかんがえます。リウマチの進行により関節破壊が進めば、人工関節置換術などにより痛みのない生活が送ることができます。以前のように、リウマチにかかっても、不安に思うことなく上手に病気とつきあっていきましょう。

関節リウマチに関するよくあるご質問

血液検査でリウマチと診断されたのですが、大丈夫ですか?

日常の診察でしばしば経験するのですが、リウマチ因子が陽性であるといわれた場合が多いのです。関節リウマチは、血液検査だけでは診断できません。感度や特異度の高い検査(抗CCP抗体)を測定し早期診断が可能となりましたが、絶対的なものではありません。特徴的な症状である「手の関節の腫れ」「朝のこわばり(朝起きると指が曲げにくい)」「左右対称の関節の腫れ」などをリウマチの症状を総合的に診断する必要があるのです。また、関節リウマチかどうか判断できずにしばらくは経過を見ながら診断するときもあります。

母親がリウマチでしたので、私にも遺伝するのですか?

関節リウマチの原因については、まだ不明な点が多いのですが、遺伝子の影響があることはわかっていますが、母親がリウマチだから、必ずお子様に遺伝するわけではありません。

リウマチの薬のステロイドを飲みつづけると骨がぼろぼろになるのですか?

リウマチの古くからの薬で、すぐに効果を発揮するという点で、ステロイドは非常に有効な薬だと思います。ただ、長期間、大量のステロイドを飲むことにより様々な副作用がでることがあります。とくに、骨に関して、ステロイドによる骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)が最も心配されますが、現在ではそれを防ぐ薬も同時に飲むように指導できます。もちろん、リウマチの 症状がよくなってくれば、徐々にステロイドの量を減らします。大事なことは、リウマチの薬を、患者様の判断で、飲まなかったりすることが、病状を悪くしたりすることがありますので、主治医とよく相談して薬を飲んでください。

リウマチの薬は一生のみ続けるのですか?

基本的には、リウマチの薬は長期間飲むことになります。しかし、痛み止めやステロイドは、徐々に減量し、抗リウマチ薬と呼ばれる、リウマチ自体による関節の破壊を防ぐ薬のみで病気とつき合うことが理想です。さらに、症状がやわらげば、薬を飲まずに症状がない患者様もおられます。大事なことは、薬のいいところ、悪いところをよく理解し病気や薬に対して必要以上に、恐れないことです。

自分はリウマチだから、どんどん変形が進んでいくのですか?

リウマチは、基本的に関節を破壊し変形をひきおこします。以前は、この変形を防ぐ薬がなく、痛みはとれても指やそのほかの関節の変形をひきおこしてましたが、現在は抗リウマチ薬を上手に服用することにより、明らかに成績もよくなってきております。患者様が自分の病気や薬を、よく理解していただき、主治医と正直に一緒になって、この病気とたたかうことにより、症状もやわらぎ、変形もとめることができます。